前回に引き続き、今回は法人税法編の後編です。
前編を見られていない方はリンクを貼っておきますので、前編もご覧になってください。
満を辞して迎えた2年目の法人税法がまさかの不合格の結果に。
敗因は得意論点が出題されたことにより、いつものペースを乱してしまったことです。
この年は落ち込むというより、試験に振り回されて実力が出せなかったことによる反省が尽きない毎日でした。
当たり前のことを当たり前にすることの難しさ。
それが次の私の課題となりました。
解き方を思い切って変えてみた。
試験結果を受けてしばらくは自分の試験時間(120分)の立ち回り方を一度見直す期間を設けました。
今回の失敗を2つに分けると、このような感じでした。
- 理論の解答時間が目安時間を超えてしまった
- 計算の時間が足らず、急ぐがあまり焦ってしまいケアレスミスの多発
これを解決しないことには、この法人税法もそうですし今後の税法科目に関わってくることだと思ったので、慎重に時間をかけて対策をしました。
理論と計算の解く順序を逆転
まず、同じ失敗を繰り返さない一つの決断として、理論と計算の解く順番を逆にすることにしました。
たかが解く順番かと思われるかもしれませんが、私にとっては大改革でした。
時間のペース感覚も時間配分も変わってきますので、解き方が一新されます。
私は学生時代ずっと野球をやっていたのですが野球で言うと打撃フォームを変えてしまうぐらい、もしかするとフォームが合わなくて調子を崩す(打てなくなる)リスクも当然あります。
解き方も変えてしまうことで「今までの調子が狂ってしまって上手くいかなかったらどうしよう…」と心配が尽きませんでした。
でもよくよく考てみると「今までで結果が出てこなかったんだから、変えない方がリスクだ」と思い、思い切って変える決意をしました。
時間配分だけでいうと計算(70分)+理論(50分)と反対になるだけですが、実際それに合わせて解いてみると想像以上に慣れが必要でした。
今までは計算が最後だったため「時間限界のギリギリまで計算を解く」ことができていたのが「70分で合格点を確保できるように解かないと」という気持ちになるので、それだけでも違った焦りが感じられて、それに慣れる必要がありました。
あと、理論が後回しになるため計算をしている最中も頭に理論のことがよぎります。解く順番は逆でも、最初の素読み(全体を通して見て、ざっと問題の雰囲気を掴む)でどうしても理論問題は読まないといけません。その状態で計算をしているとどんなに気にしないようにしていても、やはり気になります。
慣れない最初はそんな不安の中学習を進めていましたが、繰り返し答練を通して感覚が掴めてくると、次第に不安は無くなっていきました。
計算は上から順番に解かない
計算を先に解くことにしましたので、次にもう一つ徹底しなければならないことがあります。
それは“70分で合格点を確保する”ということです。
前回の失敗は理論が目安時間を超えてしまったことによる計算への悪影響でした。
解く順番を反対にしただけでは結局、計算の時間が圧迫してしまった場合、次は理論が書ききれない。
ということが考えられます、それは防ぎたい。
ということで、“70分で計算を解き切るのではなく合格点を確保する解き方をする”ことを重点的に考えました。
私は従来、計算問題は上から順番に解いていました。
性格上しっかり解答を埋めていきたいという気持ちが強く、飛ばして解答することに抵抗があったのです。
しかしここまで来たら、そんなことは言ってられません。
無理矢理自分を矯正することにしました。
飛ばしたくないというのも、飛ばして解答してしまうと「合格点が確保できないかもしれない…」という気持ちがあったから怖くでできなかったということに次第に気がつきました。
私はこの時は通信学習だったこともあり自分の点数しか分からなかったので、周りの受験生との比較が日頃からしにくい環境でした。
そんな学習環境でしたが、毎年6月に実施される全国公開模試があって、そこでは実際に受験会場で同じ受験生と受験し、合格点及び順位が出されます。
解き方を矯正して挑んだ公開模試でしたが、昨年と比べて手応えの割に順位が一気に伸びていました。
これを受けて私の中で「飛ばして解いても合格点が取れるんだ」と安心できました。
これがきっかけになって不安が払拭され、この解き方が一気に定着していきました。
解く問題を最初にピックアップする
計算問題は最初の素読みの段階で解く問題に優先順位をつけてピックアップしていました。
私がやっていたピックアップの方法は、
- すぐ得点できる基礎的な論点で絶対に正答しなければいけないところ→◎
- 少し時間はかかるけれど着手すれば得点できるところ→○
- パッと見た感じ時間がかかりそうもしくは応用論点→△
- 後回し→✖️
を問題番号の隣に記号を記入していました。
✖️について最初から後回しにすることは基本的にありませんが、明らかに難易度が高い問題や未学習論点が出題された場合に、稀に使う程度です。
この記号を素読みの段階でつけて実際に解き始めるのですが、1回転目で◎だけを解答して、終われば最初に戻って2回転目で◯を解答する。それが終わればまた最初に戻って3回転目で△を解答する。
このように記号ごとに解き分ける解答方法をしていました。
1回転目は絶対得点しないといけないところなので時間も確保できる状態で慎重に解く。2回転目も合格答案を作るためには確実に獲りたいところなので、ここも慎重に時間をかけて正答する。その後の△は残り時間の兼ね合いと得意不得意で取れそうなところに着手して可能な限り得点を重ねる。
こうすることで、大事な所で焦ることが少なくなり、ケアレスミスが激減しました。
あと、なんと言っても「全部解かないと…」というプレッシャーが無くなったので、計算を解くことに気が楽になりました。
◎と◯を可能な限り正答して、あとは△を時間の許す範囲で確保できれば自然と合格点に近づきます。
合格した時も自己採点をした感触として、◎と◯がしっかり得点できていて、△で少し加点が取れていたぐらいで合格点までいっていました。
理論で大切なことは「問われたことを的確に」
当然のことですが、解答は問題に適切に答えることです。
理論を解いていると、ついつい“書けば書くほど良い”という感覚になってしまいますが、そうではありません。
問われたことをピンポイントで答えられれば、それだけで合格答案になります。
反対に問われたことから的外れた解答をしてしまうと、どれだけ記述しても点数は伸びません。
理論対策は理論暗記が一番重要であるのは間違い無いですが、それと同時に問題を適切に読み解くことも非常に重要です。
特に試験直前期は暗記が中心になってしまいがちですが、この訓練をしっかりするべきだと思います。
私の理論の勉強方法としては暗記が中心なのは当然ですが、理論を書くのは答練や全国公開模試の時だけでした。あとは理論問題だけを読んで、その解答を頭の中でイメージする訓練をしていました。
実際書くわけではないのでどこでもできますし、1題あたり数分で回せるのでスキマ時間を使ってでもこの訓練はできます。
実際私も答練の理論問題とその部分の解答だけを切り抜いて、それを日頃から持ち歩いていました。
法人税法3度目の正直。ようやく…
3年目の挑戦は、これまでのことを徹底的に対策して本試験に挑みました。
この年の受験科目としては法人税法と合わせて消費税法を受験しました。税法2科目挑戦というのも初めてでしたが、どちらかというと法人税法がメインになっていました(とにかく法人税法に合格したい気持ちでいっぱいいっぱいでした)
ここまでやって迎えた3年目の法人税法は、無事合格!
会計2科目合格した時ももちろん嬉しかったですが、この法人税法の合格の瞬間は格別でした。
嬉しかった気持ちも大いにありましたが、それ以上に「やっと解放された…」というのが正直な所でした。
あと、2科目合格から3科目合格というところにも心境に大きな変化がありました。
少しずつ完全合格が近づいている実感と、税法を1つ乗り越えられたという自信がつきました。
法人税法に合格するまでは「自分は税法は合格できないんじゃないか…」と毎日不安が付きまとっていました。
この合格を受けて「税法でも通用する!」と確信が持てたので、同時に受けた消費税法は残念ながらこの年は不合格でしたが、すぐに切り替えて再スタートを切ることができました。
この時の私の年齢が24歳。次の年から講師業を離れて税理士法人で勤務することとなっていましたので、3科目合格時点から実務経験を積むこととなりました。
次の消費税法からは本格的にフルタイムで働きながらの税理士試験の挑戦となります。
しかもこの年は転職をきっかけに引っ越しもあったりと、環境がガラリと変わった年でもあったので、結構バタバタしていた思い出があります。
その辺りも次回、お伝えできればと思います。
それでは、また次回。
コメント