【フリーランス】経費性の有無は表面上では正しい判断ができない

個人事業主の方の相談に乗っていると必ずと言って良い程出てくる話題の一つとして「経費になるかどうか」

税金計算上で経費と認められるのは事業収入を得るために費やした支出かどうかです。

少し言い方を変えると事業に必要な支出かどうかですね。

反対に事業に必要でない支出(プライベートの支出)は当然に経費としては認められません。

税金にあまり詳しくなくて「経費を増やせば税金が減らせる」ということだけに執着してあれもこれも領収書を取って私たち税理士に依頼に来られるケースもよくあります。

あまりにも事業に関連するか判断が付きづらいものはこちらから相談した上で、検討する機会も多くあります。

事業内容を理解した上でこの支出があるということがわかれば経費かどうかを判断することはできます。

が、正直税理士でも領収書やレシートだけの表面上だけを見て事業に関連するものかを的確に判断するのは限界があります。

事業に必要なものかどうかを本当に理解しているのは事業をされている本人だけだからです。

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目次

事業に関連があるということを第三者に説明して納得させられるかどうか

まず経費になるかどうかは事業に関連があるかどうかが前提なので、その支出が「事業で使ったものだよ」と説明できるかどうかが一つの判断基準になるかと思います。

例えば、小売業をしていて商品を仕入れた費用は明らかに経費ですよね。

お店の家賃でしたらどうでしょう。これも経費ですね。

お店の備品関係も同様です。

誰に説明しても「事業に関連しているね」と納得させられると思います。

反対にプライベートの支出を事業に関連しているものだと説明するのは無理があります。

したとしてもそれは虚偽があったり、無理矢理こじつけるのでどこかで辻褄が合わなくなるものです。

そういうのは絶対にダメです。

まずそういった基準で分類すると明らかに経費になるものかならないものかは分けられるかなと思います。

どっちかわからないような難しい判断は税理士の出番

すぐ判断がつくような支出でしたら経費の分類に関してはそこまで専門的な知識は必要ありません。

問題なのが、どっちにも取れるケースです。

よくあるのが店舗兼住宅の場合で水道光熱費や固定資産税、持ち家だったら減価償却費など。

店舗(事業)に関わっているし住宅(プライベート)にも関わっている経費もたくさんあります。

この辺りを判断するのは専門的な知識がないと難しいケースが多々あります。

そんな時こそ専門家である税理士の出番です。

事情を聞きながら経費にできるものを適切に判断していきます。

実際あった質問で「仕事で使ってはいるんですが、スニーカーを経費にするのは無理がありますよね?」ということを聞かれたことがあります。

どうやら職人仲間から作業靴(足袋)は大丈夫だろうけどプライベートに使えるようなスニーカーは経費にはできないだろうと言われたらしいです。

確かに表面的に見るとプライベートでも使えそうなスニーカーを経費にするのは難しいと取られても仕方無いような気がします。

ただ、話しを聞いていると

「作業靴は足に合わなくて作業中に高所で危険を感じたことがあるので、安全のために動きやすいスニーカーにしてるんです」

プライベートでも使ってますか?と聞いてみると

「見てみます?これではプライベートで使えないでしょ」

確かにお仕事で頑張って付いた痕跡がたくさん残っていました。

「これは流石に事業でしか使えませんね。経費で問題ないですよ。」と伝えたことがあります。

これは領収書やレシートの紙からではわからないことです。

きちんとした申告をするためにも、ご依頼者と税理士との良い関係性(聞きやすい、話しやすい)は非常に重要です。

あまりにも度が過ぎると税理士側も疑って見てしまう

業種によっても経費の多寡や内容もまちまちです。

営業職で仕事を獲得するために取引先との関わりが多くなるなら交際費は必然的に増えていきます。

一方で店舗経営の小売業などは消費者相手なので交際費は少なくなるはずです。

私自身いち消費者としてスーパーのオーナーから接待を受けたことは1度もありません。

ではその小売業をされているご依頼先から接待飲食費や贈答品の名目の領収書やレシートを大量に持ってきたらどうでしょう。

知識に不安があって何もわからずとりあえず持ってきたという理由だったら、適切に説明して今後はそういったことが起こらないように指導する方向に持っていきます。

ただ税理士も一人の人間です。

それが毎度のことになったり、あまりにも度が過ぎると嫌でも疑いの目が出てきてしまいます。

場合によっては関係性を見直さないといけないことも、どうしても出てきてしまいます。

お互いのためでもあるので。

節税が目的になってはいけない

税金をできるだけ抑えたいがために経費を捻出することも良く聞きます。

事業に関係のない支出を経費にするのは問題外ですが、経費になるものを節税のためにどんどん使う。

「経費を使わないと税金が高くなって損する」そんな気持ちもわからなくもないですが…。

でも経費を使うってことはそれだけのお金を使っているということになります。

そもそも、なんで節税したいのか目的を考えると「お金を残す」ことだと思います。

税金だけにとらわれてしまうと経費を使いすぎて、節税はできたけれどお金が残っていない…。

そんなことになってしまう可能性があります。

その辺りをわかりやすく、丁寧に説明するのが税理士の仕事でもあります。

税理士として仕事をしていて、この仕事は信頼関係があった上で成り立つ職業だなとつくづく感じています。

依頼頂いた方にとって良い相談相手、良いビジネスパートナーになれるように日々精進しないとですね。

それでは、また次回。

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