【税理士試験受験生必見】事務所の業務内容と年間業務ルーティン

この記事の投稿時期は4月。所得税の確定申告で慌ただしかった日々が過ぎ、4月は一旦落ち着く時期です。

今回は税理士事務所って年間でどんな業務をしているのか、繁忙期はいつなのか。

事務所の顧客層や担当の顧問先によってある程度差はありますが、一般的な業務内容は概ね同じです。

「税理士事務所で働いてみたいけれど、どんな仕事をしているのだろう?」

「なんとなくだけど確定申告で忙しそう…」

これから税理士事務所に就職しようと考えている人。また、私自身税理士事務所に勤務しながら税理士試験を乗り越えてきましたので、同じ境遇で試験勉強しながら仕事したいという人の参考になりましたら幸いです。

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目次

税理士事務所の業務内容

まず、税理士事務所ってどんな仕事をしているのか、業務内容を大別すると以下のようになります。

①会計のデータ入力および月次決算書作成業務

日常の業務の大部分がこの業務となります。法人の顧問先が中心となりますが、毎月の会計データを整理して月次決算書を作成し、顧問先へ報告を行います。この会計データを整理するという部分でも顧問先が自計化しているか否かで月次決算書ができるまでのスピード感が圧倒的に違ってきます。

自計化については、以下の記事でまとめさせていただきました。

会計入力業務を社内で自計化するか、税理士事務所へ入力代行(アウトソース)するか

顧問先に月次決算書を用いて先月までの業績等をお伝えしていくのですが、ここでお話しする相手は経営者です。会計や税務の話はもちろんのこと、社長の思いや価値観などもお話で聞くことができるのでこれは他の仕事では体感することのできない魅力の一つだと思います。

この場ではお堅い話ばかりしてそうなイメージだと思いますが、時には雑談も結構します(笑)肩の力を抜いてお話しするまでの関係になれば社長もなんでも気軽に相談してくれますし、こちらも気兼ねなくお伝えすることができるので、非常に良い関係が作れます。

このルーティンを毎月するところもあれば、3ヶ月で1回のサイクルで行うところもあったりと顧問先によってまちまちです。この頻度は顧問先の要望もあるので相手に合わせて決めて行くこととなります。

②法人の確定申告業務

法人の決算月は様々ですが、3月が一番多い印象です。なので5月(確定申告期限が決算期から2か月以内のため)が税理士事務所の繁忙期と言われている所以となります。確定申告は法人が納める税金(法人税や消費税など)を確定させる業務です。担当の顧問先で3月決算法人が多い場合は、早めに取り掛かれるようにスケジューリングしておく必要があります。

③年末調整

言葉としては聞いたことある人も多いのではないでしょうか。年末調整は給与所得者の所得税額を確定させて、給料から毎月天引きされた源泉徴収税額との過不足額を精算する業務です。

担当の顧問先で勤められている社員の一人一人の計算をする必要があるため、従業員が多い会社の担当がある人は、必然的に業務量も多くなってきます。

④個人の確定申告業務

フリーランスの個人事業主の事業所得はもちろん、法人の経営者が給与所得とは別に不動産所得があったり雑所得がある場合は確定申告をする必要があります。これは個人の1年間の所得を計算し、納める税金(所得税や消費税など)を確定させる業務です。法人と違って一律確定申告時期が決まっていますので、その期間で集中してこなさないといけません。

⑤相続税などのスポット業務

こちらは税理士事務所に勤務している全員が行う業務ではないのですが、税理士ないし経験がある人はこのようなスポット業務も担う必要が出てきます。

税理士事務所の業務ルーティン

上記の業務内容を年間のタイムスケジュールに当てはめていきます。年度初めからいきましょう。

4月は忙しい時期に挟まれた中休み

3月が個人の確定申告(後述)で忙しい日々が終わり、ぽかぽか陽気で過ごしやすい気候になってきたら毎日慌てていた気持ちが落ち着いてきます。

暇というわけではないのですが、2月決算(法人は2ヶ月後までに確定申告をする必要があります)の法人も比較的少ないので、3月までの忙しい時期で後回しになってしまった通常業務の遅れを取り戻す時間に充てる時期です。あと5月の3月決算法人の確定申告時期が迫ってくるので、早めに取り掛かる準備をする時期でもあります。

私が税理士試験受験生だった頃は、この4月の間で3月まであまりできなかった勉強を集中的にします。5月でまた忙しくなるので、この仕事が一旦落ち着いた時に遅れを取り戻します。

また私の受験生時代、試験勉強と仕事をどうやって両立していたかも、別の記事にまとめさせていただこうかと考えています。

5月は3月決算法人の確定申告で忙しい日々

業務内容のところでお伝えした通り、3月決算法人が多いのでその分確定申告が大変です。

現に私が担当している顧問先も3月決算が1番多いです。

その確定申告の傍ら日常業務(月次決算書の作成業務)も並行して行わなければいけません。忙しい時期でも日常業務はやりつつ、確定申告やスポット業務もこなす必要があるので息つく間もなく時間が過ぎていく日々です。

私もそうでしたが、税理士試験受験生はこの時期が1番辛いです。税理士試験は5月から各専門校の直前対策と言って追い込みシーズンに入ります。その入りがこの時期なので勉強したくても時間が上手く捻出できずに出鼻をくじかれることとなります。税理士事務所に勤めながら税理士試験を受験される人はこの時期を如何に上手く乗り越えられるかが非常に重要です。

6月から10月は閑散期

この期間は決算期の法人も多くないので比較的落ち着いています。相続税の確定申告などのスポット業務もこの辺りで取り掛かれるものがあれば集中して進めることができますし、忙しい時期でできなかった仕事に時間を充てやすくなります。

税理士試験は8月上旬に行われるので、税理士試験受験生は5月の繁忙期が終わって試験当日まで約2ヶ月前後、追い込みをかけて勉強をします。私はメインの勉強場所を事務所にしていました。平日は出来るだけ早く仕事を終わらせて夕方から夜まで勉強したり、休日に朝から事務所に出向いて勉強したりと、可能な限り勉強に時間を充てて本試験に臨みます。

無事試験を終えてから9月初旬くらいまで受験生の唯一の息抜き期間です。私は試験期間中に読みたいと思った本をAmazonのほしい物リストに登録しておいて、試験が終わったらまとめて買ってひたすら読んでいました(笑)楽しみを後に置いておくというのも試験を乗り越える一つの力になっていました。

11月から1月にかけて徐々に忙しく…

9月決算法人が多い場合はその確定申告業務が11月に入ってきます。それを皮切りに年末年始にかけて年末調整業務に入ります。年末調整に付随して法定調書、償却資産税の申告期限が1月末なので並行して進めていきます。

年末調整が始まると、ここから3月まで一気に忙しくなるので税理士事務所の繁忙期の幕開けです。

税理士試験の合格発表が12月中旬です。8月に受験して4ヶ月後に発表です。受験生にとって1年間の成果が発表される瞬間なので、12月入ったぐらいから気持ちがそわそわしてきます。

2月から3月は一番の繁忙期

年間で1番の繁忙期はこの時期という税理士事務所は多いのではないでしょうか。2月16日から3月15日の個人の確定申告に合わせて12月決算法人の申告時期とかぶるので、業務量がかなり多くなります。事務所全体で一丸となって協力しながら確定申告をこなしていきます。

税理士試験受験生は12月の結果を受けて、新しい科目に挑戦ないし同じ科目に再挑戦するため勉強を再開して間も無くこの繁忙期がやってきます。休日出勤もあると思いますので、なかなかまとまった勉強時間が確保しづらくなってきます。どの科目に挑戦するかで対策が変わってきますが、この繁忙期が来る前にあらかじめ学習計画を立てて乗り越えられるように準備しておく必要があります。

税務実務に携わるためには常に学ぶ姿勢が大切

いかがでしたでしょうか。仕事柄、期限のある確定申告の作成業務がメインとなる仕事なので季節的に繁忙期があるのは仕方が無いことです。言い換えるとメリハリがついている職業でもあります。

この仕事は税法という難しい法律を駆使して顧問先の税金を正しく計算します。その税法は毎年改正されますので、変わったところや新しくできた税制をいち早く頭に入れる必要があります。

また、様々な相談を顧問先から頂くので、知らないことが日々出てきます。頂いた相談に的確にお応えするために常に勉強する必要があります。これは職員の時も税理士になってからも同じです。

税理士試験受験生は試験勉強と並行して行う必要がありますが、最近の税理士試験は科目によって実務色が濃い問題が出題されたりすることもあるので、相乗効果も見込めます。

が、大変なのは事実です。

イメージ通りかも知れませんが、この仕事に携わる以上「常に勉強」です。

経験すればするほど難しく奥が深いことがわかってくる税法。それをわかりやすく簡潔に説明することも大切な私たちの仕事です。

それでは、また次回。

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