実際に問題を解いていると、どれぐらい解答用紙に反映したら良いか。
試験直前あたりから実力が付いてくるこの時期、結構この部分が悩みの種になったりします。
そもそも解答ができないのは勉強不足が原因なので、時間の限りひたすら勉強あるのみです。
しかし解答量の調整はただ闇雲に勉強しているだけでは、なかなか身に付かないなと感じました。
必要以上に解答するということは点数と時間を失っているということ
「わかっているから、知っていることを全部書いて(解いて)やりたい」
問題を解いていると、このような思いがどうしても出てきてしまいます。
制限時間のある(基本的に時間に余裕は無い)税理士試験で合格点を獲得するためには、全体的にバランス良く解答することが求められます。
・理論は全てできて自信があるけれど、計算は全く手がつけられなかった。
・理論と計算は全体的にバランス良く解答できた。
このような場合だと、やはり後者が合格答案に近い印象です。
そもそも「全部できた!」という感覚も、試験で求められている解答が的確に全て解答できているとは限りません。
中には求められていない解答も自分でつけ足して勝手にできた気になっているケースもあり得ます(私も何度も経験しました…)
そうなってしまうと書いたのに得点には結び付かず、その分の時間だけロスになってしまいます。
その時間のロス分が影響して、他の計算問題で得点できるであろうところが得点できないなど、悪影響を及ぼしてしまいます。
なので、書きすぎる(過剰解答)のもミスの一つと認識して普段の勉強から意識していく必要があると思っています。
中には「これは解答すべきかどっちだ?」と判断に迷うケースもあります。
極度の緊張の中で、解答すべきかどうかの判断をするのは勇気がいることだし「本当にこれでいいのか…?」という不安が頭をよぎります。
最後は自分を信じて判断するしかありません。
的確な解答をするために必要なことは「正確な問題の読み取り」
「制限時間内でバランス良く解答する」
私も当ブログでバランス良く解答するという言葉は頻繁に使っている認識がありますし、受験生の時から講師の先生方からよく言われていたことでもあります。
じゃあどうやったらそのバランスが良いといわれるような解答ができるのか。
私自身ある時期に、解答方法がなかなか定まらず理論問題が時間内に書ききれないという状態になってしまいました。
それは書くのが遅いからということではなく、的確に問題を読み取れなかったが故に無駄に解答していたのです。
問題を読んで解答をしていると書いている最中に、
「あの理論も必要かもしれないな。書き足しておこうか」
と頭に浮かんだものを「必要かもしれない」という思いから、どんどん解答量が膨れ上がる事がありました。
当然解答時間も長引き、その後の計算問題の時間を圧迫して制限時間内に解けきれないことがありました。
典型的なバランスの悪い解答です。
しかもその理論も点数が高かったというとそういうわけでなく、模範解答にない箇所の理論も解答していたりと。
後で見返すと「問題にきちんと答えられていない」印象が伝わるような解答用紙でした。
そんな悩んでいる中、当時の講師の先生から
「試験の問題はお客さんからの税務相談で、あなたに聞かれていることです」
「相談《問題》に的確に返答《解答》できないと相手は満足して《合格させて》もらえないでしょう」
「聞かれた相談を誠意を持って《的確に》答えられたら、自然と合格するもんですよ」
「聞いてもいないことを、あれもこれも説明されてもうんざりするでしょ。試験ではそういうのは点にならないです」
問われた問題にシンプルに答えるだけで合格答案は作れるんだよということを改めて教えてくれました。
この意識は税理士としてお仕事をさせていただいている今でも、大事にしています。
当時は「あれもこれも解答しなきゃ上位(合格レベル)に入れない。合格できない」
と変に重しがかかっていました。それがプレッシャーになっていました。
確かに「問われたことに的確に答える」のも簡単ではありませんが、私の中では少し荷が取れたように感じました。
そう考えると自然と「今以上に問題を正確に読み取る」意識が強くなりました。
正確に問題を読み取って必要な分だけを的確にピンポイントで解答する。
「無駄な解答は絶対にしない」
そう言い聞かせて問題に取り掛かるようになりました。
最初に解答の道筋を決めてしまって、あとはひたすら書き続ける
私は解答している最中に思い浮かんだ解答も書き足してしまうことがよくありました。
そうなってしまうと
- 書くことから意識が逸れて目の前の解答が疎かになる
- 必要でない解答も付け足してしまう。
採点した後の解答を見ても、後で思い浮かんだ解答が実は必要なかった。
それを書いたことにより、他に必要な解答が書けていなかった。
ということがありました。
その弱点を克服しないことには時間的にも精度的にも、理論で合格答案を作るのが難しいと不安を感じました。
そして悩んだ結果、考える時間と解答する時間は切り離してしまおうと考えました。
考える時間は、問題を正確に読み取って解答に必要な記述すべき規定や道筋を考えて決める。
解答する時間は、考えて決めた内容したがってひたすら書き連ねる。
解答する時間はあれこれ考えず、書くことに集中するようにしました。
解答しながらあれこれ考えているから、意識が逸れてしまったり無駄な解答を思い浮かべるんだなと。
だったら最初の考える時間で解答の道筋を決めてしまって、あとは余計なことを考えずただ目の前の書く行為に集中しようと思いました。
考える時間では問題をじっくり正確に読み取って、頭の中に入っている理論集の必要部分を問題用紙の空白部分にメモしていきます。
「これで行こう(解答しよう)」と決断できるまでしっかり考えます。
問題の種類によってこの考える時間は差が出ます。
個別問題(条文ベタ書き)でしたら即決できるので、ほぼ必要ないでしょう。
応用問題(関連規定を列挙)でしたら必要な規定の解答漏れがおきないように思い起こしてメモする時間が必要ですので、それなりに時間が必要です。
事例問題は問題量が多くなるし時系列の整理や情報を整理するのに、かなりの時間を要します。
特に事例理論は考える時間が長くなりがちなので、かなり焦りが出てきます。
余談ですが、私が合格した年の相続税法は2題ともが事例理論でした。
普段の練習の通り、考える時間はほとんど手を動かしませんでした(メモはしますが)
周りからは次第に理論を書く音が聞こえてきて、自分が遅れているのではないかと焦りが出てきます。
焦る気持ちの中、グッと堪えて「今は考える時間だ!」と言い聞かせて焦る気持ちを抑えながら、慎重に問題を読み解きました。
この年の問題はかなり難易度が高く、解答範囲を絞るのに結構苦労した受験生が全体的にも多かったようです。
それこそ書きすぎたら計算も含めて全体の解答時間が足りなくなるぐらいの量でしたし、読み取るのも一苦労でした。
私は最初の考える時間でじっくり読み込むことに注力したので、それこそ考える時間は周りの受験生より要したかもしれません。
しかしその時間をかけた甲斐があって、無駄のないピンポイントの解答ができたと思っています。
結果的に時間内に終えることができました。
試験を終えた瞬間にふと思ったことが、普段の勉強から考える時間で焦る気持ちに耐える訓練をしていなければ終わっていたなと。
実は合格する前の年も同じような傾向で、問題の読み取り不足で痛い思いをしました。
そんな経験があったからこそ、余計に意識したのかもしれません。
恐らく焦りから考える時間を疎かにして解答に走ってしまったら、書いている途中に他の解答を思い浮かべながら解答していたら、違った結果になっていたかもしれません。
合格するための必要十分な解答ができるようになれば、それこそバランス良く解答することに繋がるかなと。
それが結果として合格答案になっていくのかなと思っています。
それでは、また次回。
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