【税理士試験 相続税法】計算問題 どの順番で解いていくか【計算編#2】

前回の計算編#1では計算問題の相続人の解答についてまとめていきました。

相続人の解答ができれば、本格的に計算問題に突入していくわけですが、どのように立ち回るか。

私が実際に解いていた順番をお伝えできればと思います。

スポンサーリンク
目次

素読みの段階でざっと解答順序を決める

問題に着手する前に必ず、全体の素読みの時間を確保します。

その段階で概ねの解答順序を決めてしまいます。

  • 相続人・法定相続人・基礎控除関係
  • 財産評価
  • 相続税の総額計算
  • 税額控除
  • 最終値(各人の相続税額)

計算の総合問題はこのような問題構成が中心となります。

大まかには上から順番に着手していくのが基本にして。

財産評価の中で優先して解くものや後にするもの。

相続税の総額計算が完了していないけれど、税額控除の一部を先に解く。

のように、問題によって優先順位を変えていくことも考えても良いかと思います。

私自身も

「この問題が出たら先に解く」

「あの問題が出たら後に回す」

この段階での優先順位の考え方は、普段の勉強から自分の得意不得意や、すぐ解けるもの解けないものがわかっているので、ある程度今までの経験を基にして着手する順番を決めてしまいます。

といっても最初に全て正しく決められるものでもなく、実際に着手してみると思っている以上に手間取るようなことも出てくるので、その時はその場で後回しにする判断をすることもあります。

小問があれば先に優先して解答する

基本的に計算の総合問題は1題(最終税額計算の一通りまで)が出題されます。

稀にその総合問題に付随して小問が出題されることもあります。

ちょっと前の本試験でしたら、贈与税額の解答(総合問題中の贈与の資料から読み取って)が求められる問題も出ていました。

最近は全然出てませんが、延納の問題も出題されたこともあります。

あとは納税猶予。直前対策でたまに見かける問題です。

総合問題は範囲も広いため、どの部分に配点がきているかわかりません。

しかし小問は必ず一定の配点が振られているはずです。

これを仮に後回しにして時間が足らずに解けない(もしくは焦ってケアレスミスをしてしまう)ということになると、合否に影響を与える失点に繋がる可能性があります。

なので、私は先に解けるような小問であれば先に片付けてしまうように意識していました。

総合問題と切り離された小問であれば(延納や納税猶予など)どちらから解いても大丈夫。

贈与税額の算出のような総合問題中の資料を用いて解答するような問題は、総合問題の贈与の論点(生前贈与加算や贈与税額控除)とセットで解答した方が効率良く進めることもあります。

そのような問題であれば総合問題の一部として無理して先に解こうとはせず、総合問題から着手していけば良いと判断していました。

原則として時間のかからないものから順番に解く

計算の総合問題で大きなボリュームを占めるのが財産評価。

この財産評価という論点の中でも優先順位を決めていくのですが、原則としては「すぐ解答できる問題を先に着手する」ように意識していました。

  • 預貯金
  • 上場株式
  • 投資信託
  • 動産
  • その他の財産(相続分で分けるようなもの)

他にも細々した論点はたくさんありますが、パッと思いつくのはこのような論点でしょうか。

これらの問題は優先して先に解答するようにしていました。

順番にすると財産評価のいちばん最初になりますね。

最初に解答する目的は、他の受験生も確実に解答してくる問題のため、時間が足らずに解答ができなかったということを防ぐのが一つ。

もう一つが、これは私自身にとって計算問題の最初に簡単な問題で解答しておくと、その時間に精神的に落ち着けていたというのがありました。

試験時間120分の中で、その財産評価の最初に着手する論点の解答するタイミングが丁度半分ぐらいの時間帯でした。

理論の解答、計算の素読み(優先順位の判断)、相続人の解答をしていると大体60分前後になります。

「すぐ解答できるものだから、パッと終わらせてしまおう」という気持ちではなく、簡単だからこそ慎重にかつ迅速に解答が求めらます。

そのような問題を後に残しておくより、先にしておいた方が後に控えているボリュームがある問題にも落ち着いて取り掛かれるような気持ち的な面からも良い影響があったなと。

後に残していると、宅地や非上場株式の問題を解いているときに「あの問題も後でやらなきゃいけないから急いで解かなきゃ」というのが頭をよぎり、変に焦ったり目の前の問題に注力できなくなるので、できるものは先にやっといた方が良いのかなと思っています。

ちなみに家屋の論点もすぐ解答できそうな分類に入ってきそうですが、自用家屋や貸家評価ないし賃貸割合が影響する評価とかになってくると、その資料が宅地に入ってくることもあります。

そうなると家屋の解答をするのに宅地の問題を一通り確認しなければならないことや、小規模宅地の指示が家屋に入っていて、宅地の論点に着手するときにまた家屋の問題も確認し直す場合も出てくるので、家屋は宅地とセットで解答することを意識していました。

どれだけ宅地と非上場株式の問題で時間が確保できるか

財産評価の二大巨頭とされる宅地と非上場株式。

計算問題のポイントの一つとして、如何にこれらの問題に時間を確保して解答できるかになります。

宅地の論点は問題量も多ければ解答量(計算過程)も多く、小規模宅地の解答もあるので含めるとかなりの量になります。

問題としては3,4つ程出題されるのが一般的かと思います。

すぐ解答できるものもあれば、1つの問題の解答でかなりの時間を要するものも出てきます。

これも解答しやすそうな宅地から順に着手していくようにしていました。

あと意識していたのが、宅地の評価ができたらその都度小規模宅地の判定→解答もセットでしていました。

宅地の評価が一通りできてから小規模宅地を解答するのでも良いですが、せっかく宅地の問題を解いてしっかり問題も理解しているタイミングで小規模宅地を解答した方が、効率も良いしミスもしにくいと感じていました。

最終的な減額金額の算出は全ての宅地の評価ができて判定してからになるので、最後は改めて解答しないといけませんが、判定対象に列挙していくのは先にできます。

判定対象の列挙が先にできていれば残りの計算は数分でできるはずなので、あとは時間との勝負になります。

中には宅地の評価が難しすぎて解けきれない問題もあります。

その時でも小規模宅地の判定はして、なんとか解いた状態の解答の金額で小規模宅地の計算をしてしまいます。

私が合格した年も、そんな感じでした。

宅地のうちの1つがかなり難しく。ボリュームも多く解けきれないと判断しました。

ある程度解けるところまで解答して、評価額は間違っていることはわかっていましたが、その金額で小規模宅地の計算に組み込んで小規模宅地の計算も仕上げました。

その問題が最終的に点数にどう影響したかわかりませんが、宅地が解けていないから小規模宅地も白紙で提出するよりかは良い影響だったのではないかと思っています。

次に宅地と同じくらい(場合によっては宅地より多い)のボリュームがあるのが、非上場株式の論点。

出題内容によってかなり量に差が出る印象です。

最初の素読みの段階で解答用紙の解答量と問題文の量から、時間がかかりそうかどうかを最初にあたりをつけておくようにしていました。

時間がかかりそうな問題だったら、そのつもりで非上場株式以外の論点をより迅速に片付けていかないといけません。

私の解答順序としては非上場株式に着手する前に、みなし財産(生命保険、権利、退職金)や生前贈与関係の論点も先に仕上げていましたので、非上場株式が財産評価の最後になっていました(特別に後回しにするものがなければ)

普段の勉強から非上場株式の問題は解き込んでいたので、どのパターンの出題だったらどれぐらい時間がかかるのかおおよその目安の所要時間は頭に入れていました。

  • 取得者の中心的な同族株主の判定が難しい(把握に時間がかかる・取得者が複数)ケース
  • 純資産価額方式の純資産の各項目を自分で算出するケース
  • 類似業種比準方式の業種が2業種のケース
  • 比準価額(配当・利益・純資産)を自分で算出するケース
  • 配当還元価額方式があるケース
  • 特定評価(比準要素1の会社、土地保有特定会社、株式保有特定会社)に該当するケース
  • 法人税相当額控除不適用株式ありのケース
  • 配当期待権など、権利評価があるケース
  • 特に何もひねりもないベーシックなケース

普段の勉強では解けるようになるためにじっくり取り組む勉強ももちろん必要ですが、直前期あたりからは「自分はこの問題だとこれぐらい時間がかかるんだ」という時間感覚も知っておいた方が良いと思っています。

実際試験では見積もった所要時間を確保できるように、時間配分も逆算して他の問題に充てる時間も考えたりしていました。

宅地と非上場株式にどれだけ時間が回せるかが計算問題では大事なポイントだと思います。

相続税の総額が出てなくても、税額控除は着手する

財産評価が一通り終われば、相続税の総額計算に進んでいきます。

次に各人の税額控除の適用があればそれぞれ解答していきますが、税額控除で解答できるところは先に解くようにしていました。

最初の相続人関係の読み取りの段階で、

  • 2割加算対象者
  • 未成年者
  • 障害者

このあたりは資料から読み取れます。

2割加算は対象者だけ解答用紙に記述。

未成年者控除・障害者控除は電卓で計算して控除額だけ先に解答用紙に記載。

計算過程はその後に時間があれば書き足すような感じです。

そのほかの配偶者控除や相次相続控除(控除額の総額は資料から先に解答できるので、その部分だけ計算過程欄に記載)は税額が必要なので、後回し。

贈与税額控除は贈与の資料から算出できるので、先に解くことができます。

このように税額が出ていなくても単独で解答できるところは先に着手しておきます。

そして税額を算出して各人に割り振って、残りの税額控除を仕上げて納付税額まで求めて終了。

ここまで時間内でできれば良いのですが途中でタイムアップになっても、できるところは埋めている状態にはしておきたいところ。

どのような順番で解いていくかは、普段の勉強の時から考えておかないと本番で急にできるものでもありません。

試験の直前期では特に時間を意識した勉強も設けるようにした方が良いのかなと思います。

制限時間でベストな解答をするための優先順位の選定や時間配分ができるように、今回は計算問題を解く順番をテーマにしてまとめてみました。

何かヒントになることがありましたら幸いです。

それでは、また次回。

↓次を読む↓

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次