簿記検定ってよく聞くけれど実際どうなの?

「書店でも資格書籍コーナーで簿記関連書籍がたくさん置いてありますよね?」

「そもそも簿記検定ってどんな試験なの?」

「難しいのかな?取ったら役に立つのかな?」

商工会議所主催の簿記検定(日商簿記検定)は比較的認知度が高い資格になっている(求人の採用条件にも簿記の要項が書かれていることが多い)ため、就職活動の一つとして挑戦してみるという人も多いです。

簿記検定には3級〜1級まで存在します(初級と原価計算初級もありますが今回は割愛します)

私自身、講師経験をし、実務で携わる立場としてタイトルの疑問についてお伝えできればと思います。

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受験資格は必要なし

他の資格の中には、2級の受験資格が3級合格者とか1級の受験資格が2級合格者というような、上位級を取得するためには段階的に受験しなくてはいけないというものもあります。

しかし簿記検定についてはそのような受験資格は無く、何級からでも挑戦できます。

私自身、3級を取らずに2級から受験して合格後、1級へと進みました。

また、私が講師をしていた学校のカリキュラムは同日に3級と2級を同時受験(試験時間が各級分かれている)していました。そのように自身の学習環境に合わせて柔軟的に受験することができます。

チャレンジしやすいというのが特徴の一つです。

日商簿記検定について、商工会議所のリンクを貼っておりますので参考にしてください。

https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping

試験内容

試験内容として3級は商業簿記のみ、2級は商業簿記と工業簿記の2科目です。

1級になると会計学と原価計算を加えた4科目となります。

それぞれの科目の特徴は以下の通りです。

商業簿記…小売業や卸売業などの事業形態で行われる商取引を基にされた内容です。例えば「商品を〇〇円で仕入れて、それを△△円で売り上げた。結果□□円の利益が計上された。」という一連の流れを簿記のルールに従って記録して財務諸表を作成することが目的です。その一連の手順を学習する内容となっています。

工業簿記…商業簿記は仕入れたものをそのまま販売するというのが一般的な流れですが、工業簿記は製造業などの事業形態で行われる工取引を基にされた内容となっています。例えば「仕入れた材料を使って加工して製品を製造した結果、製造原価が〇〇円となった。それを△△円で販売し、利益が□□円計上された。」というように、自社で作ったものを売るというところが商業簿記とは大きく異なるところとなります。工業簿記の目的も商業簿記と同じで、財務諸表を作成することが目的となっています。

会計学…商業簿記は決算書を作成するまでの一連の流れを学習することが目的でした。一方会計学は、商業簿記で行う処理を理論的な視点で解答が求められる試験内容となっています。例えば、簿記で減価償却や引当金を学習しますが、会計学では減価償却を行う目的や引当金の計上要件などより深く掘り下げて出題されるようになります。

原価計算…工業簿記にも「原価」という言葉は頻繁に出てくるので関係してくるのですが、工業簿記はあくまで簿記なので商業簿記と同じように、簿記のルールに従って取引を記録して最終的に財務諸表を作成することが目的となっています。一方原価計算はその簿記で記録する金額を計算することが目的です。なので原価計算で原価管理や意思決定をして利益を追求し、その結果を工業簿記で財務諸表にまとめるといったイメージとなります。その原価管理や意思決定の内容が試験範囲とされます。

各級の所感

3級

取引を仕訳して元帳に転記し、最終的に決算書を作成するまでの簿記の一連の流れを体系的に学習できます。この流れの理解を無くして会計を理解することはできません。3級もしっかり勉強すればかなり有意義な知識になり得ますし、実務にも活かすことができます。

会計という言葉を使いましたが、過去に簿記と会計の違いについてまとめている記事があるので、気になる方はぜひ参考にしてください。

会計と簿記の違い

近年の試験傾向としては基本的な問題が繰り返し出題されているので、テキストや問題集で対策していれば問題なく合格は可能です

合格レベルに達するまでの目安勉強時間は100時間〜120時間程度かと考えられます。

2級

3級より商業簿記の出題範囲が広くなるほか、工業簿記が新たに追加されます

必然的に合格レベルに達するまでの所要時間は3級より増えますが、一般企業の経理や税理士事務所で必要とされる簿記の知識を身につけることができます。また、2級持っていると周りからは「簿記の知識が十分ある」と思ってもらえる一つの指標となる資格です。なので、そのような業種に就きたいと考えている方は是非2級まで挑戦することをお勧めします。

学習方法としては、独学でも可能ですが工業簿記も加わりますし全体の難易度も3級に比べて高くなりなります。コストはかかりますが、短期で合格するには講座を受講する方が効率良く学習を進められるかと思います。

合格レベルに達するまでの目安勉強時間は250時間〜300時間程度かと考えられます(3級受験後に2級に取り組んだ場合)

1級

2級の範囲からさらに会計学と原価計算が加わります。範囲がとにかく広いのもあるのですが、それ以上に出題内容の難しさが際立つ印象です。

膨大な試験範囲をインプットするのはもちろんのこと、難問に対応するための対策が必要となります。

私は最短ルートで税理士試験を受験するためには1級が必要だったので取得しましたが、勉強していた当時の心境としては「この難しさで受験資格!?」と思いながら勉強していました。

「受験資格を得るため」「会計についてより深く学びたい」など明確な理由がある場合は、チャレンジする価値があるかと思います。

合格した時の達成感は格別です!

学習方法としては、1級を初めて学習する場合は講座を受講することをお勧めします。2級の範囲だった商業簿記だけで考えたとしても、それより複雑な論点が出てきます。徐々に独学では対応できなくなって気持ち的にも半ば諦めモードになってしまう危険性があります。1級合格を目指すのであれば、最初から講師の力を借りて学習を進めましょう。

合格率も低いということもあり、長期化すればその分勉強時間も増えてきます。1級に関しては合格までの目安勉強時間は個人差により開きが大きくなると考えられます。

おおよそですが、合格レベルに達するまでの目安勉強時間は900時間〜1,000時間は必要かと考えられます。

まずは3級からチャレンジしよう!やってみていけると思ったら是非2級まで

気になったらとりあえず3級から簿記に触れてみましょう。

最初は独学でやってみたいという人は、書店に行けば関連書籍がたくさんあります。テキストと問題集の2冊を合わせても4,000円以下で揃えられるのでコスト的にもチャレンジしやすいと思います。

効率よく学習して合格を目指したいという人は、専門校の講座を受講しましょう。独学に比べてコストはかかりますが、時間の節約になりますし、何よりやらざるを得ない状況になるので、自然と勉強する習慣が身に付きます。

試験勉強の最大の副産物は、勉強する習慣が身につくことです。1日の中で勉強時間を確保する必要が出てくるので生活習慣の見直しもできます。

そして無事に3級を終えたら、是非2級までチャレンジすることをお勧めします。

なぜかというと「簿記の知識がある」と周りから認知されやすいのが2級だからです。もちろん3級だけでもしっかり勉強していれば簿記の知識があるのは間違いないのですが、就職の採用条件も「簿記検定2級」が条件になっているところも多いのが現状です。取得していれば可能性がグッと広がります。

あと、3級をやり切ったということは簿記の素質は十分あるので、勉強すれば2級も合格できます。その可能性を捨ててしまうのは非常にもったいないです。

引き続き2級に挑戦する人はすぐに勉強に取り掛かろう!

「3級に無事合格したから、2級もチャレンジしてみようかな?」

「3級合格まで勉強漬けで大変だったから、ちょっと休んで気が向いたら2級をスタートさせよう」

よくあるパターンですがもったいないです。何がというとせっかく3級の試験勉強で良い生活習慣と勉強の習慣が身に付いたのに休みを入れることでリセットされてしまいます。

仮にそこから2級をスタートさせたとしても「また受験生活に戻るのか」と考えるだけでモチベーションが下がりますし、戻すにも一苦労です。

モチベーションが高い状態で2級に取り掛かることができるようにスケジュールを組みましょう。

それでは、また次回

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