こんにちは。税理士のmashです。
前編に引き続き今回は後編です。前回のリンクも貼っておきます。
前回は法人税法との並行で挑戦しましたが、理論の出来が不十分という内容で結果は不合格となってしまいました。
そんな結果ではありましたが心境としては重荷だった法人税法をパスできたというのが自分の中では特に大きく、やっと前に進めた気持ちから少しホッとした記憶があります。
初めての税法科目の合格ということもあり、「税法に通用できる」という自信が持てたのが次の消費税法の試験でも活きてきたように思います。
ここで初めて「官報合格」が視野に入った
この年は消費税法がメインとなるのは間違いなかったですが、一通り学習を終えているということもあり、もう1科目も挑戦したい気持ちが強くなってきました。
「官報合格を目指して5科目目も挑戦できる。」
そう思って選択した科目は“相続税法”でした。詳しくはまた相続税法の合格体験記の時にお伝えできると思いますが、相続税法は税理士試験の科目選択を考えた時に、以前から決めていました。
その時の合格の進捗状況や学習ボリュームの兼ね合いから、結果的に最後になってしまいました。
そうしてこの年は消費税法がメイン科目で相続税法は初学、もちろん両方合格する意気込みで勉強する決意を固めました。
ここでようやく自分の立ち位置が“官報合格”の射程圏内に入るタイミングでもありました。
2科目合格の時と3科目合格の時の心境の違いとしては、見えない暗闇の中でゴールを目指して手探りで無我夢中でやってきたことが、やっと一筋の光が目に入ったような感覚でした。
1科目の違いではありますが、それぐらい私の中では大きな心境の変化がありました。
決してまだ合格できていないので遠い道のりであることには違いないですが、ゴールが見えるか見えないかでは、モチベーションもかなり違ってきました。
徹底した理論対策
前年の失敗で理論対策が不十分だったと感じていたこともあり、年明け早々から理論対策の徹底を図りました。
まず、個別理論対策です。規定をどれだけ正確に覚えられるかが鍵です。
そのためには、規定の理解が不可欠と思いました。
そこで、いきなり理論集の暗記を開始するのではなく、計算とリンクさせることを強く意識しました。
前年も意識して暗記はしましたが不十分感は否めませんでした。
この年は前回で一通り学習を終えたということもあり、さらに計算の理解が深まることで理論の構造の理解も深まりました。
計算問題で記述する計算パターン(計算過程)と理論を紐づけるような感じです。
私はずっとTACの教材を利用していたのですが、計算過程と理論マスターの条文構成がリンクしているところ(消費税法30条〈仕入税額控除〉など)は、テキストと理論マスターを両開きにして「この計算過程は条文のこの部分のこと」というように、覚えた計算過程と覚えた理論を繋げていくようにしました。
そうすることで、暗記学習が今までは難しい理論を文字の集合体として丸暗記していたものが、条文構成を理解して一つの法律として覚える習慣が身につきました。
このあたりからそのような学習方法が習慣化していたので、今でも税法の条文を読むと当時勉強していた計算パターンが思い出されます。
条文構成を理解して体系的に覚えられていると、丸暗記より圧倒的に忘れにくいということが実感できました(そこまで行き着くまでに、時間がかかりますが…)
といっても、何日か放っておくと精度は落ちますので定期的に理論を回して思い出す作業は必要です。
そこで理論サイクル表を自分で作って、暗記の管理をしていました。
そんな大層なものではなくて、iPhoneのメモ帳アプリを使って理論集の枝番、暗記日、暗記回数を記載していました。
- 1−1 5月1日 回数50
- 1−2 5月2日 回数55
- 1−3 5月4日 回数40
- 1−4 …
こんな感じで入力していました。
回数はその年の出題傾向に応じて重点的に覚えていれば回数は自然と増えるはずです。
それが仮に少なければ対策不足の可能性があるため、そのような状況を可視化できるようにしていました。
それより重点的に確認していたのが暗記日です。
私の中でのルールとして試験直前(約1ヶ月前)までは3日ルールを勝手に設けていました。
3日ルールというのは最後に覚えた日から3日空けないようにするというものです。
上の参考の表で行くと、今日が5月4日と仮定したら1−1は今日中に回すようにしていました。
3日程度だったら、まだ覚えているので、再度覚え直すにもそんなに時間は必要ないです。
それが1週間とか空いてしまうと前に覚えた理論が頭から抜けているので、次に覚えるのに時間がかかりますし、何より覚える気持ちが重たくなります。
定期的な暗記の積み重ねが本当に大切です!
応用事例理論対策としては、事例が何題か出題され課非判定した上でその理由(規定)を記述するような問題が当時の出題傾向でした。
個別理論対策で理由(規定)は対応できると考えたので、
- 適切に問題を読み取る(理解する)
- 的確な課非判定をする
この2点を徹底して対策することとしました。
具体的な内容としては、今までの答練の応用事例理論だけを切り取ってオリジナル問題集を作ってひたすら、
問題を読み解く→課非判定→該当する理論の柱(書くとしたら理論マスターのどの部分を書くか)
を、繰り返し解くことをしていました。書くことは一切しないので、どこでもできます。
それこそ私は車の運転をする機会が多いのですが、車に持ち込んで信号待ちの時に問題を読んで、青になって進み出したらその課非判定と規定を運転しながら頭で解答するというのをしていました。
信号待ちの時間(1分程度)で問題を読み解くことがちょうど良い緊張感が生まれるのですが、これが本試験の制限時間の中で慌てず素早く適切に問題を読み解く緊張感に似ている部分を感じました。
ただあまりおすすめはできません。安全運転が第一です。
オリジナル問題集も答練が進んで新たに応用事例理論が出題される度にどんどん増えていくような感じです。
環境が変わっての受験生活
前年までは講師業をしながらの受験生活だったのですが、この年から税理士法人でフルタイム勤務をしながら受験勉強をすることとなりました。
それに合わせて引っ越しもしましたので、環境が一気に変わることとなりました。
生活リズムもガラッと変わったので、最初は慣れるまで大変でした。
ただ、そうなるだろうと思っていたので、勉強に関しては前もって先に進めていました。
4月から転職と引っ越しがあり、すぐに5月の税理士試験の直前期に入ります。
そして仕事の繁忙期もその時期になると聞いていたこともあったので「4月までが勝負だ!」と考えて、それまでに如何に合格レベルまで引き上げられるか逆算して年明けから勉強に取り組んでいました。
それをしていなかったら、この年の消費税法の合格はなかったかも知れません…。
結果的には3月末までに理論は概ね暗記をして、計算も合格レベルまで仕上げられました。
4月からの勉強は理論の精度をさらに高めることと、計算も確実に合格点を確保できるようにケアレスミスの防止対策などを中心に時間を充てました。
2年連続税法合格!
そうして迎えた本試験。この年は消費税法と合わせて、相続税法も初学で挑戦するつもりで勉強していました。
相続税法も消費税法に負けじと、しっかり勉強時間を確保して取り組んできました。
ただ、相続税法を受講して感じたことは、周りの受験生のレベルが段違いでした。
消費税法でもミニ税法特有のレベルの高さを感じましたが、また別のレベルの違いを感じました。
なんだろう…猛者ばっかりでした。
なかなか上位に入れず(というか、全然入れない)次第に直前期に段々と追いつけなくなってきました。当然モチベーションも高まっていきません。
「これはいけない!」と危機感を覚えて、一つの決断をすることにしました。
7月中旬あたりの段階で「このままズルズル言ってしまうと消費税法と共倒れになってしまうかもしれない…」と思い「消費税法に絞ろう」と決意しました。
この決断はギリギリのところだったと思います。もし、そのままズルズル両方続けていたら消費税法の理論精度が高めきれず、本試験はどうだったか…。
社会人で複数科目受験をされている人は、その辺りの決断を最終的にはしなくてはいけない時が来るかもしれません。(もちろん最後までやり遂げられるに越したことはありませんが)
そうして直前の1ヶ月弱は消費税法に注力して最終調整をしました。
結果は、無事合格しました。
この年の理論のうち1題が各専門校の出題可能性が低いとされているところが出題されました。
私は理論については全て覚えるようにして試験に臨みましたので、当然のように記述して帰ってきました。
試験まではその理論が出題可能性が低いということは知らず(専門校の予想は見てなかった)、後日の解答速報でその事実を知ることになりました。
その部分が書けたのが大きかったのかと思います。
前年の課題の応用論点も出題されましたが、その辺りも計算の知識を駆使して解くような問題だったので、先程紹介した計算過程と理論を紐づけて勉強していたこともあり、それが功を奏しました。
法人税法の合格に続いて消費税法の合格もできたこともあり、この時は「やっとゴール(官報合格)が見えてきた」と思いました。
ガラッと変わった環境の中で合格できたことは、私にとってすごく大きな収穫でした。
「仕事しながらでも合格できる!」
仕事しながらの勉強は「本当に合格できるのだろうか…」不安が毎日尽きませんでしたが、この環境で合格できたことで不安が自信に変わりました。
仕事をしながら限られた時間で合格するための勉強をするためには、1日の時間の使い方を見直しをする必要も出てきます。
意識したことは、ちょっとした時間でも時間が空いたら勉強するということです。
その積み重ねが最終的には合格という大きな成果に結びつく時が来ることを信じて、毎日コツコツとするしかありません。
税理士試験はそれを信じて最後まで諦めなかった人が合格できるものだと確信しています。
これで4科目目、次が最終科目の相続税法です。
それでは、また次回。
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