理論暗記といわれても、覚え方は十人十色。
専門校に通っていたとしても理論暗記に関しては、教える側にとっても人それぞれに合った覚え方があるという認識があるので、全体講義では具体的に覚え方までは教わらないことがほとんどです。
個別に講師に相談したり通学していれば周りの受験仲間に相談したりと、暗記方法を教えてもらったりすることもあると思いますが、最終的には暗記学習は自分で試行錯誤して学習方法を確立していかなければなりません。
税理士試験の理論の範囲は広く、深い知識まで本試験では要求されることもあります。
なので本試験までには1つでも多く理論を覚え、少しでも深く規定の理解をしておく必要があります。
しかしいきなりそこまで求めて普段の暗記を進めていくのは至難の業。
私はいきなり一言一句覚え始めるのではなく、ある程度ステップを分けて暗記を進めていました。
まずはざっくり理論の全体像を把握
「目の前の規定を暗記すること」にとらわれすぎると、木を見て森を見ず状態になってしまいます。
普段の答練で、出題予告があるような場合はその部分(木だけ見る)ような暗記だけでも乗り越えられるでしょう。
しかし、本試験では何が出題されるかわかりません。
そうなると全体像(森)を把握していないと、問われた問題に的確に解答することが難しくなります。
まずは覚えるべき理論の全体像を把握するところから始めないといけません。
それが一番短く的確にあらわされているのが、理論のタイトル。
普段から暗記に一生懸命だと理論のタイトルって意外と疎かになっていませんか?
このタイトルには税法の何を表す規定なのかが書かれてます。
まずはそれを把握して、今から自分は税法(森)のどの部分の規定(木)を覚えようとしているのかをしっかり認識します。
例えば相続税法だったら、
- 納税義務者(相続税or贈与税)
- 財産(課税or非課税)
- 課税価格(相続税or贈与税)
- 税額計算(相続税or贈与税)
- 申告・納税
このような感じで、体系ごとにそれぞれの規定がいくつか紐づいているので、まずは覚えようしている理論はどの体系に属するのかを意識します。
理論体系がわかっていないと、本試験に問われた時にどの部分を解答すれば良いかわからなくなるのです。
仮に覚えた理論を50題(うち課税価格に属する理論は10題)としましょう。
例えば問題で「課税価格について〜答えよ」のように問われた時に、規定単独で50題を覚えていた場合は、50題の中から一つ一つ覚えた理論を頭の中で思い出して「あれと、これと、あれもそうだったかな?」みたいな感じで解答することになるでしょう。
この解答だとどうなるか、解答漏れが出てきてしまうし、考える時間がかかります。
では体系的に意識して暗記した50題だとどうなるか。
課税価格に紐づく理論は10題ということを知っているので、このような問題が出題されたら50題のうち関連する10題だけ頭に残して、その10題から本当に必要な理論を解答に素早く反映する事ができます。
今まで個々の規定の暗記ばかりでその体系化ができていなかったとしても、全然遅くありません。
個々の理論がある程度頭に入っていた方が、体系化するときにイメージしやすかったりすることもあります。
覚えた理論をフォルダ分けするような感じなので、頭の中の覚えた理論の整理と思ってください。
そのあたりに不安を感じる方は理論の学習時間の時に、そういった理論の体系化を意識する勉強時間を設けてみるのも良いのではないかなと思います。
覚えることは大事だけれども、規定の意味もしっかり理解する
暗記の方法も人それぞれで、理解は二の次でまずは暗記に徹する。
という方もいれば、まずは規定の内容を理解してから暗記する。という方もいます。
問われた規定を解答用紙に書ければ得点はできます。なので最後にものを言うのは「覚えているかどうか」に尽きます。
したがって暗記が大事になってくるのですが、理解なくして暗記ができるのかということです。
私はどちらかというと後者で、まず規定の意味を理解した上で文章の暗記に入っていました。
文字そのまま暗記しても理解して暗記しても、忘れるものは忘れます。
これに関しては違いありません。
私も前の日に頑張って初めて覚えた理論も、次の日にはすっかり忘れてしまっているというのが日常茶飯事でした。
ただ、忘れた時に思い出すスピードは変わってくるかなと。
理論暗記は「覚えては忘れて」の繰り返しです。
その覚える量がどんどん増えていきます。
10題ぐらいならば、覚えることに徹してどうにかできるかもしれませんが、法人税法になると全部覚えたとしたら100題を超えます。
流石にそのままの暗記には限界があるし、応用理論のことも考えると理解していないと本試験に対応できなくなってしまいます。
まずは覚えてしまって後から理解するとかの多少の順序の前後はあるかと思いますが、どこかでは規定の意味を理解する時間は必要になってくると思います。
規定全体の意味が確認できれば次はその規定の柱(題目)ごとに細分化して理解していきます。
規定の要件や手続・計算方法など、全体を理解して柱ごとの細分化したのを次に細かく理解する。
理論の文章はその理解した内容を文字にしたものなので、頭の中で理解が進んでいけば文章も入りやすくなると思います。
講義で理論学習があればその講義が理論の規定の意味を学習する時間なので、その講義を終えたらなるべく早く暗記する。
忘れたら暗記し直す。のように「講義→すぐに暗記→定期的に暗記」この定期的な暗記のサイクルにどんどん持って行って暗記の題数を増やしていきます。
文章中のカッコ書きはとりあえず後回し
理論を覚えていると、文章中にカッコ書きが出てきます。
最終的にはカッコ書きの中も覚えていく必要があるのですが、最初から順にカッコ書きも含めて覚えようとすると本文の流れが掴みづらくなります。
最初はカッコ書きは飛ばして本文だけで覚えていました。
そうすると先に理解した内容と文章が徐々に繋がっていることがわかってくると思います。
全体の文章の流れが掴めて全体が把握できてから、カッコ書きを付け足していくような感じで進めると比較的スムーズに暗記を進めていけるのではないかと思います。
あと、規定をパッと見では、すごい文章量に感じるかもしれませんが、カッコ書きを抜いて本文だけで考えると意外と文章量は少なかったりします。
できるだけ覚えやすく順序立てて覚えていく方が暗記効率だけでなく、自身の理論に取り組むハードルを下げていくことにも繋がります(それでも急に理論暗記が楽しくなるものではありませんが…)
理論暗記は税理士試験で一番負荷がかかる勉強です。
工夫をしながら暗記を着実に進めていかなくてはなりません。
理論暗記は徐々に肉付けしていくイメージで精度を高めていく
理論暗記はいきなり100%の精度を目指しながら暗記を進めるのではなく、少しずつ精度を高めていくようなスタイルで暗記した方が良いのではないかと思っています。
最初にどれだけ精度高く覚えたとしても、時間が経てば忘れてしまいます。
100%の精度で一旦覚えて1週間放置するぐらいでしたら、初日で50%、次の日は70%、1週間後には100%みたいに、短いスパンで徐々に精度を高めていく方が忘れるスピードが遅くなり、思い出すスピードが速くなりやすいです。
忘れてしまうことは受け入れて、とにかく回数をこなす(忘れたら思い出す)ことに注力する方が良いかと思います。
最初は文章の流れ(カッコ書きは飛ばして)を重視して課税要件や課税対象、課税原因、結論など、それぞれが文章のどの部分に該当するのか理解しながら規定を覚えていきます。
ある程度頭に入ってきたらカッコ書きを付け加えたり他の柱との関連性を理解したりと少しずつ範囲を広げていくような感じで暗記を進めて行ってみてはどうでしょうか。
イメージとしては少しずつ理論に肉付けをしていくような感じです。
- 規定のタイトルを覚える
- 規定の内容を理解する
- 規定の柱(条文構成)を理解して覚える
- 内容の本文(カッコ書き以外)をまず覚える
- カッコ書きまで含めて規定全体を覚える
- 他の柱も繋げて覚える
- 規定全体通して覚える
7•まで終わったらあとは本試験に向けて、定期的な暗記を繰り返し繰り返し暗記精度を高めるサイクルを作っていきます。
これを1題でも多くの理論を頭の中に取り込めるように理論学習を進めていく必要があります。
本試験前になると、その覚えた理論から更にその年の出題傾向によって暗記精度に強弱をつけたり応用的な部分にも着手したりするフェーズに入っていくわけですが、そもそもそれまでにある程度理論が頭に入っていないと本試験直前に効率良く本試験対策がしづらくなってしまいます。
まだまだ日があると思っていた本試験の日まで気がつけばあっという間です。
手遅れにならないうちに、理論を頭に入れる暗記はできるだけ早くから着手しておいた方が良いです。
覚える方法、覚える順番。今日紹介したのはあくまで私が実践した一例です。
何か参考になれば幸いです。
それでは、また次回。
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