5科目挑戦してきて一番どの科目が苦労したかと問われたら迷わず「相続税法」と答えます。
相続税法は最終科目に受験することになったのですが、この科目で官報合格一歩手前で数年足止めされることになりました。
他の4科目ももちろん簡単ではありませんでした。
が、相続税法は他の科目に比べて明らかに本試験の自分の手応えと結果が一致しなかった科目でもあります。
ハマれば1年で合格する人もいるが、沼にはまってしまう人もいる
私はどちらかというと後者だったのですが、早い人だと1年で合格する受験生も周りにはいました。
反対に実力者でも何年挑戦してもなかなか良い結果に結びつかない受験生もいました。
相続税法は奥が深く、勉強しようと思えばどれだけでも深く勉強する事ができます。
そうすると必然的に知識が身についてくるのですが、その知識量があれば合格できるかどうかはまた別の話。
試験官が自分の頭の中をパカっと開けて覗いて「知識あるな。よし、合格!」だったらそれでも良いのですが、実際は120分で記述された解答用紙の情報だけで、合否が決められます。
それこそ、私はこの最後の科目の相続税法でアウトプットをさらに重要視するようになりました。
今までの4科目も十分にインプットとアウトプットのバランスを意識して学習して合格を積み上げてきたわけですが、最後の相続税法に関しては、もう一段階ギアを上げてアウトプットを意識しないと他の受験生に勝てないと感じました。
現実問題として1年で合格する受験生もいるわけなので、複数年かかってしまっている私には絶対原因があるはずと考えました。
合格した年は初心に返ってその原因を突き止めるところから立ち戻ることにしました。
そうすると、どうでしょう。今まで気が付かなかった弱点がボロボロ出てくるわけです。
税理士試験は基礎論点を確実に得点に結びつけることが合格への近道と言われています。
2年や3年勉強していると言っていることはわかっているのですが、無意識ながら基礎論点より今の自分より成長させないといけない気持ちから、応用論点などに手をつけてしまいがちです。
それでも実力は身につくと思います。その論点が普段の答練とかに出題されても難なく得点できるので成績も良くなるでしょう。
現に普段の答練の点数配分は基本論点を失点してしまっても他の応用論点で得点していれば、総得点では大差なくむしろ上になることもあります。
それで上位に入っているから安心していたとしても、実際の試験では基礎論点に傾斜配点がされたり、全体の正答率が低いような応用論点には得点がそこまで配点されなかったりする可能性があります。
そうすると、普段から応用論点は取れていないけれど、基礎論点はきっちり得点できている人と比べた時に、順位が逆転する可能性も十分に考えられます。
私自身そう感じて最終年度に基礎論点を一から徹底して解き込んだのですが、それがきっかけで自分の弱点が見えてきました。
それを一つ一つ潰していくことで、結果的に基本論点を確実に得点できる実力が身につくことになりました。
受験生のレベルは実際高いと感じた
相続税法に挑戦する時に、周りから
「相続税法は官報リーチ(4科目)の人も多くなる科目だから競争が激しくなる」
「何年も勉強しているような猛者がいる中で合格を勝ち取らないといけない」
などと色々(脅されるかのように)言われたものです。
実際受験してみてですが、官報リーチの人がたくさんいたかどうかはよくわかりませんでしたが、受験生の全体のレベルは高いなとは感じました。
普段の答練でもなかなか上位に行くのが難しく「本当に合格できるのかな」と不安の毎日を過ごす時期もありました。
では実際普段の実力順に合格できるかというと、それはまた別の話です。
私自身相続税法に関しては普段の答練の成績は合格の年は良くありませんでした。
それこそ合格年の全国模試はCランク(その前はSランクで不合格)だったぐらいです。
合格する前の年までは、答練で出題された応用理論(本試験で後回しにするような論点)も漏れなく全て網羅する意識で勉強していました。
合格した年はどちらかというと、応用理論は二の次(これまででカバーできていた部分もありますが)にして、とにかく基礎論点を最後まで徹底しました。
その年の相続税法の試験は計算問題で難しい論点がいくつか出題されました。
私はこのような勉強をしていたため、時間がかかるような応用論点はどんどん飛ばして基本的なところに時間をかけて確実に得点していきました。
例えば10の量がある応用論点が出題されて10全部を解き切るのではなく、半分の基本論点5の部分だけ解答(部分点狙い)して、とりあえずその状態の解答を解答用紙に記入(残り半分の応用論点部分が解けていないので、最終値は間違っている)します。
残りは後回しにして次の問題に進みますが、結局戻ってくる時間が足らずでそのままのところもありました。
終始その作戦で解き進めていったのですが、変に応用論点に手を出していないため、時間だけを浪費するようなことにはならず、時間内ですべて解き切ることができました。
これでも時間ギリギリだったので、応用論点に手を出していたら恐らく全て解き切れなかったか、焦って基本論点でケアレスミスをしていたかもしれません。
自己採点しても目立ったミスも見当たらず(捨てるべきところが失点していた感じ)で、無事合格することができました。
合格した年が相続税法を受験していて普段の成績が一番良くなかったのにも関わらず本試験では合格できたので、周りの受験レベルの高さに臆する必要は全く無いなと思いました。
相続税法はミスが少なかった人が合格できる印象が特に強かった
最後の相続税法に関しては、一つの取りこぼしが(その部分が得点源であればあるほど)合否に大きく影響する印象でした。
自己採点をしてわかる範囲ではありましたが、合格する前の年は自分が発見できただけで計算のケアレスミスが2.3箇所あったと記憶しています。
宅地の補正率の選択ミスで、その宅地の評価は比較的安易な問題だったので得点源だったはずです。
その年は計算問題全体的に基礎論点が多く、高得点勝負の年でもありました。
他の受験生が得点できている中、自分がその論点を取りこぼしてしまうと、必然的にボーダーラインを超えるのが難しくなってしまいます。
合格した年は、ケアレスミスに分類される失点はありませんでした。
この年は前年と対して、難易度が高い論点も含まれていたりボリュームも多かったりという年でした。
難易度が高いなと判断した論点はバッサリ切り捨てて(計算過程で部分点狙い)基本論点の得点に注力しました。
試験が終わってからの自分の感想としても「結構大胆に解いてしまったな」と感じましたが、結果的にそれが功を奏するようになりました。
合格点にも十分到達していたので、ミスが少ないことはそれだけで大きなアドバンテージになるのです。
相続税法に限らずですが受験生レベルは高いです。が、そういった人たちもミスをします。
その中で自分はしっかりミスを少なくして得点を積み重ねていくことで、初学者でも実力者を追い越して合格に近づいていく事が可能だということ。
反対に数年間良い結果に結びつかない場合は、自分の解答を今一度しっかり見つめ直して原因を突き止める。
騙されたと思って、初学者向けの基本論点中心の問題集をひたすら解いてみて下さい。
そうすると意外と今まで見えてこなかった弱点が見えてきますよ。
それでは、また次回。
コメント