税理士試験で覚えたあの膨大な量の理論。
試験を乗り越えて実務(税理士業)でどのように活きているか。役に立っているのか。まとめていけたらなと思います。
勉強したことはいろんなケースで「引っかかる」
理論に限らずですが税理士試験で勉強したこと全て、今の仕事に何かしらの形で活きています。
表現すると、頭の中に知識のフック(引っかかり)があるようなイメージです。
自分の頭の中でもの(仕事)が下に向かって落ちていくようなイメージ。
落ちている流れで
「あっ、この内容はこの部分のことを言ってるんだな」
そうなれば落ち切る前に知識のフックに引っかかって対処ということになります。
逆に何にも引っかからなければ心配です。下にはリスクがありますから。
- 知らないことによるリスク
- 気が付かないリスク
- イチから調べる時間ロスというリスク
当然実務やっていると勉強した科目以外の内容も当たり前のように出るわけで、勉強したことが全てではありません。
心配が尽きないからこそ、税理士になった今でも勉強の毎日で知識のフックを増やしています。
実務に携わってからもその知識のフックを日々増やすために研鑽が欠かせないのは当然です。
しかし税理士試験であれほど勉強したことは、いつまでも自分の頭の中に残っています。
その知識のフックを試験勉強でどれぐらい増やしているかは、結構大きかったと個人的に思っています。
僕自身税理士事務所で勤務しながら試験勉強していたこともあるので、その感覚を常日頃感じていました。
「勉強を疎かにして、気がつかなかったら大変だ」
そんな経験をしながら仕事をしていると、自然と勉強にも身が入ったものです。
だからこそ「捨て理論なんて作るのはもってのほか」というマインドが染み付いたわけなのですが。
覚えた理論は今後の基礎になる
税理士業をしていると毎年の税制改正を避けて過ごすことはできません。
最近の改正内容には疑問を抱くことも多々ありますが、決まったことには従っていかなくてはいけないものなので。
改正も元の規定が変わるということなので、元の内容を学問で理解しているかどうかは大きいです。
元の部分を知らなければ改正という名でまた別の税制を覚え直しているに近いですからね。
自分が税理士試験で学んだことでも、数年経てば改正されます。
改正されてしまったら今まで自分が勉強したことは無駄だったのかというと、そうは思いません。
元の規定からどう変わったのか。変わった部分をピックアップして覚え直すようになるので労力はそれほどかからないわけです。
「今年の改正は、この部分だけ変わったんだな。あとはいつも通りか」
そんな感じで、元の知識があれば趣旨が掴みやすいですし、より早く理解できます。
税理士の方ではないのですが、ある他士業の先生のお話で「条文とか全部覚えているんですか?」という質問に「いやいや。流石に全部覚えてないですよ」という会話のやり取りがありました。
その方は「試験で嫌になるほど勉強した元の知識があるから、条文を開いた瞬間にどんなことが書いてあるのかはすぐわかるね」と仰っていました。
それを聞いて「確かに。そこまで卓越した事はできないにしても分かる部分はあるな」と思いました。
大変な思い出勉強した経験は、いつまで経っても自分の知識の基礎になってくれます。
もし税理士試験に理論暗記がなかったら…?
もし、もしですよ。税理士試験で理論暗記が必要なかったらどうなっていたか、ふと考えてみました。
それこそ本試験もテキスト持ち込みオッケーとか。
今のような暗記が必要なかったらどうだったか。
試験としてはだいぶハードルは下がるでしょう(もちろん競争はより激しくなるでしょうが)
ですが、その後の実務のことを考えた時に、その皺寄せはくるだろうなと。
今でこそ、相談者から相談があってもある程度は頭に入っているからある程度スムーズに相談の回答ができたり、やり取りができている部分は大きいと思います。
試験の時に今ほど暗記が求められておらず頭に入っていなかったら、当然仕事の時にも毎回調べ直したり今より時間がかかるかもしれません。
質問のたびに「ちょっと調べるので、待ってください」ということになってしまうでしょう。
勉強の時のあの膨大な勉強時間が仕事の時間へ移ってしまうかもしれません。
そう考えたら、当時は「こんなの全部覚えて本当に役に立つの?」と半信半疑ながら覚えていたことも、全て無駄ではなかったのかなと。
税理士として仕事していると毎日勉強しないと本当に追いつけないぐらい変化が激しい日々です。
勉強しなくて良くなる日は税理士をやめる日まで来ることはないでしょう。
税理士試験は税理士になるための適正試験であって、その適性試験で今でも理論暗記が求められている問題が出題されているってことはそういうことなのでしょう。
税理士試験はそんな生活に耐えられるのか、試されているのかもしれませんね。
それでは、また次回。